ラボ
LABOシルクスクリーンによる挿絵 草間彌生×不思議の国のアリス
以前の記事でシルクスクリーンのアーティストとして紹介した草間彌生さん。
今回はその草間彌生がアートワークを手掛けた本、「不思議の国のアリス」の紹介です。
思わずジャケ買いして飾っておきたくなる程ステキな本の挿画は、シルクスクリーンで作られたもの。今話題の展示会「特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―」でも展示されている本です。
▼ 以前の記事はこちら
● 草間彌生 とは
![草間彌生の作品 (https://www.hando-horizon.com/archives/5391)](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/yayoi-kusama-gf8bda2fa1_1920-102.webp)
前衛芸術家・小説家。アートにあまり詳しくない人でもドット(水玉模様)のカボチャはどこかで目にしたことがあると思います。
1950年代に渡米しネット・ペインティング、突然パフォーマンスを始めるハプニングや体験型インスタレーション等を行い「前衛の女王」と呼ばれました。2016年には文化勲章を受章。1929年生まれの草間氏は、現在も現役の日本を代表するアーティストです。
● 草間 彌生 作品の特徴
幼いころから幻聴や幻覚に悩まされ、その世界観を描いていました。
ドットや網目をはじめ同じモチーフを反復しているのが特徴的です。
● 世界中で愛されている児童文学、不思議の国のアリス
「子供のときに読んだことがあるけど、どんな話だったか思い出せない」という人も多いのではないでしょうか?少女・アリスは時計を持ったウサギの後を追いかけて、不思議な世界へ。個性豊かなキャラクターたちと出会いながら冒険するファンタジーです。
● 「不思議の国のアリス」原作は?
![引用:https://alice.exhibit.jp/works/ アリス展 マッド・ハッターのお茶会でのアリス、『不思議の国のアリス』初刊行版本より、ジョン・テニエル画、1866年、V&A内ナショナル・アート図書館所蔵 © Victoria and Albert Museum, London](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/img_works_sec1_04.webp)
● 作者
ルイス・キャロル
本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン。イギリス・オックスフォード大学の数学教授。
「不思議の国のアリス」の物語が生まれたきっかけは、彼の知人の子供たちと遊んでいるときに即興で話したことでした。
1865年に『不思議の国のアリス』(原題: Alice’s Adventures in Wonderland)初版刊行。続編は1871年に『鏡の国のアリス』(原題:Through the Looking-Glass, and What Alice Found There)を発表しています。
● 挿絵
ジョン・テニエル
当時イギリスで風刺画家として人気の絵師。「不思議の国のアリス」刊行にあたり作者のドジソンとレイアウトやイラストを綿密に計算し、現在でも愛されるアリスの世界観を作り上げています。当時の挿絵は木版画で作成されました。
● 草間彌生 in ワンダーランド
![『不思議の国のアリス With artwork by 草間彌生』(ルイス・キャロル 著、楠本君恵:訳/グラフィック社) 引用:MoMA Design Store(https://www.momastore.jp/shop/g/g9784766124545/)](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/img-book.webp)
引用:MoMA Design Store(https://www.momastore.jp/shop/g/g9784766124545/)
草間彌生が挿絵を担当した『不思議の国のアリス With artwork by 草間彌生』(初版2013年 ルイス・キャロル 著、楠本君恵:訳/グラフィック社)も、アリスの世界をテーマにした素晴らしい作品の一つ。もともとはイギリスの現代美術館『テート・モダン』での草間氏の個展に併せて企画・出版されたものだそうです。
● アリスの世界観と草間 彌生の作品がぴったり
![マッドハッターを思わせる帽子(シルクスクリーン作品)/『不思議の国のアリス With artwork by 草間彌生』(ルイス・キャロル 著、楠本君恵:訳/グラフィック社)](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_7124.webp)
ワンダーランドの主役は草間彌生。アリス、ウサギ、チェシャ猫、芋虫やハッドハッター等のキャラクターそのものは描かれていません。それでもポップでカラフル、そしてサイケデリックな挿画は本文の幻想的なイメージとぴったり。
挿画はほとんどがシルクスクリーンで制作されたものだそう。色使いや反復するモチーフなど、草間彌生の作品をたっぷり堪能することができます。
![声に出して読みたいタイポグラフィ/『不思議の国のアリス With artwork by 草間彌生』(初版2013年 ルイス・キャロル 著、楠本君恵:訳/グラフィック社)](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_7104.webp)
本文は原作に沿った現代日本語訳です(原作冒頭の詩は省略)。遊び心のあるタイポグラフィもこの本の見どころ。内容に沿って文字が大きくなったり小さくなったりと変化するのが面白く、読み進めていくうちにどんどん不思議の国の世界へ引き込まれていきます。
![本の装丁もステキです。このまま部屋に飾れます。(撮影:筆者)](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_7102.webp)
● 大人も楽しめる絵本
大人になってから読む「不思議の国のアリス」は時代背景と風刺が理解できたり、キャラクターの噛み合わない会話を楽しんだりと、子供時代とはまた違ったおもしろさがあります。
豪華な挿絵もあるこちらの本は、草間彌生の絵が欲しいと思っている方にもおすすめ。プレゼントにしてもおしゃれですね。
● 「不思議の国のアリス」の魅力とクリエイター
![動くチェシャ猫のインスタレーション(撮影:筆者) 特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―/森アーツセンターギャラリー(https://alice.exhibit.jp/about/)](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_6752.webp)
特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―/森アーツセンターギャラリー(https://alice.exhibit.jp/about/)
アリスが冒険するのはだれも行ったことのない不思議の国。インパクトの強いキャラクターが織りなす非現実的な物語は、様々なクリエーターにインスピレーションを与えます。
イラストや映画、舞台、ファッション等「不思議の国のアリス」がテーマとなっている作品も多く作られてきました。この記事で紹介している草間彌生の本も展示されていますよ。
● 「不思議の国のアリス」展示会も大人気
今話題の『特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―』では「不思議の国のアリス」が生まれた時代背景や様々なジャンルのアリス約300点もの作品に触れることができます。没入型の展示&演出もあり、自分も不思議の国に迷い込んだようなワクワク感があります。
東京(2022年7月16日〜10月10日)―大阪(2022年12月10日〜2023年3月5日)と順に開催しているので、のぞいてみてはいかがでしょうか。
![ケース内の右 草間彌生の本が展示されています(撮影 筆者) 特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―/森アーツセンターギャラリー](https://www.hando-horizon.com/wp-content/uploads/2022/10/dd6a94d76d45c5e747bc5a5c5589815f.webp)
特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―/森アーツセンターギャラリー
● 「不思議の国のアリス」で創作意欲が湧いてきたら、シルクスクリーンを体験してみよう!
数々のクリエーターと同じように「不思議の国のアリス」からインスピレーションを得たら、ぜひオリジナル作品をつくってみませんか?
▼ シルクスクリーンの作り方に関する過去記事はこちらもおすすめ。
「草間彌生のように、私も本が作りたい」という方に朗報です!
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【参考サイト】
特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―
https://alice.exhibit.jp/about/
草間彌生 美術館