アクリルブロック×シルクスクリーンでオリジナルアクリルスタンドを作ってみる!

アイドルやアニメのファン達の間で人気のアクリルスタンド。
推し活という言葉が流行り出してからは、さらに広く知られるようになったアクリルスタンド。
最近では、家族やペットの写真をアクリルスタンドにするという人もいるそう。
アクリルスタンドを作る場合、業者などのプロに頼むというのが一般的で、シルクスクリーンでできることはなさそう…と思っていましたが、個人でできたら面白いのでは?!ということで実験してみました!
①アクリルブロック×蓄光インク
100均でアクリルブロックを買ってきて、いざ実験。
ちなみにアクリルブロックはスタンプ用(スタンプシートを貼り付けて使用する板)です。


表にドアを、裏におばけ達をプリントしてみました。
おばけ達は「蓄光インク」を使ってみたので、電気を消すとおばけ達が浮かび上がる…というのができるのでは?という算段です。
では、いざ…!!!

おお!!おばけがこちらを見ている…!!!
扉からチラリとこちらを覗いているおばけやひょろりと飛んで行くおばけ達。
これは結構良いアイデアかもしれません。
蓄光インクは太陽光や蛍光灯の光を蓄えて光るので、窓の近くに置いておけば、夜電気を消したときにぼやっと光ってくれそうです。
蓄光インクはこちらのインク。(全5色)
ざらっとした蓄光剤が入っているのでよく混ぜて使ってください。80メッシュなど粗めのメッシュがおすすめ!

蓄光インクはこちら
②アクリルブロック×写真
同じアクリルブロックに、今度は写真をプリントしてみます。
ひまわりの写真を4色分解して、フルカラー印刷をしてみましょう。
シルクスクリーンで写真をフルカラーで刷る方法はこちらをご覧ください。
この記事を参考に作った版がこちら!

刷った後の版なので分かりやすいですね。
左上から順にM(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)、Y(イエロー)です。
斜めに引いてある線は私が横着してつけたトンボです。
それぞれ印刷したA4の原稿用紙に定規を当て、大体同じでしょ!という場所にマジックペンで線を引いてから製版しました。(みなさんはちゃんとデータ上でトンボをつけてくださいね!)
フルカラー印刷する順番としては、下のような順番が基本。
①Y(イエロー)
↓
②M(マゼンタ)
↓
③C(シアン)
↓
④K(ブラック)
でも今回は厚みのあるアクリルブロックに印刷をしていくのでちょっと一工夫!
順番を逆にしてプリントしてみましょう。
①K(ブラック)
↓
②C(シアン)
↓
③M(マゼンタ)
↓
④Y(イエロー)
の順番でプリントすると…

……ミスったのでは?
でも、これを裏返すと…

きれいなひまわりがお目見え!!

めちゃくちゃ良い感じになりました!
これはインテリアとして飾っておくのも良さそう。
そして何より自分で版を作って印刷をしたので愛着がわきまくります。
ちなみに、このひまわりの写真は反転しても問題ないデザインですが、反転するとおかしくなってしまうデザインは、デザイン作成の時点で反転させてから製版しましょう!
今回使用したインクはプレーンインク。
「きいろ」「ぴんく」「そらいろ」「くろ」を使っています。
これをパステル系の色に変えてみたりするとまた違った雰囲気になりますよ。

プレーンインクはこちら
アクリルブロックへの印刷のポイント
1. アクリルブロックの厚みを活用しよう!
通常のアクリルスタンドと異なり、厚みがあって自立するのが特徴のアクリルブロック。
①のおばけのように表と裏を有効活用したり、デザインを反転させて印刷し奥行きを出してみるのがおすすめ!
2. 透明感を活用しよう!
布や紙への印刷と違って透明なものに印刷をするので、その透明感を活用すると面白いかもしれません。たとえば、窓のフチだけを印刷して、空にかざす、森にかざす、海にかざす…などなど、場面によって変わるデザインも面白そう!
注意点
今回は蓄光インクやプレーンインクなどの水性インクを使用しています。
爪でがりがりと引っ掻いたりすると取れてしまうので注意して扱ってくださいね。
完全に定着するインクで刷りたい!という方は、プラスチックやガラス、金属などに使える「油性インク」がおすすめですよ。
油性インクはこちら
まとめ
今回は厚みのあるアクリルブロックにシルクスクリーンで印刷をしてみました!
大きなアクリル板などを使えば、個展の作品作りなどにも活用できそうです。
ぜひみなさん、チャレンジしてみてくださいね!
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シルクスクリーンのメッシュの粗さによる違い「メッシュとは?」~おぎこラボ
スクリーンの「メッシュ」って一体何? シルクスクリーンのメッシュって一体何?選ぶ基準は? 120メッシュ、80メッシュ、60メッシュ…色々あるけど結局どれがいいの?何が違うの?というかメッシュって何?なんて疑問を解決すべくまたまた実験! シルクスクリーンのメッシュって一体何? シルクスクリーンにおけるスクリーンのメッシュとは、いわゆる目の粗さ、細かさのこと。スクリーンの素材はナイロンやテトロン(ポリエステル)などの繊維で、メッシュの数は1インチの中にその繊維の糸が何本織られているか、という数字です。昔は本物の本物のシルク(絹)が使われていたんだとか! 目の細かいものほど数字が大きくなります。シルクスクリーンのメッシュの種類は50~500くらいまでと幅広く存在しますが、一般的によく使われているのは60~120あたり。 メッシュが細かいスクリーンはデザインの再現度は高いですが目詰まりしやすいため、目詰まりしにくいインクを選ぶなど工夫をするのがおすすめ。対して、メッシュが粗いスクリーンはデザインの再現度は低くなりますが目詰まりしにくいという利点があるので、布へのベタ印刷などに向いています。ラメ入りインクなども粗めのメッシュを選んでくださいね!細かいメッシュだとラメが目詰まり綺麗に印刷できないのです。 でも実際どんな感じなの?というのはやっぱり論より証拠!実際に実験してみましょう~! (シルクスクリーン用のスクリーンは弊社ECサイトHANDo WEBSHOP Tシャツくんスクリーンからもご購入いただけます。) 60メッシュ、80メッシュ、120メッシュの違い まずはインクを乗せて刷る前のスクリーンを見てみましょう。 スクリーンのメッシュの違い おお~!これは一目瞭然ですね!120メッシュは網目が細かく、80、60メッシュとメッシュが粗くなるにつれて網目が大きくなっています。スクリーンを触った感じも120メッシュはわりとなめらかですが、60メッシュはザラザラとした感じ。スキージで刷った時もザリザリ…ジジジ…という感触があってなかなか違いが面白いのです。 では実際にインクを乗せて刷った時にどんな違いがあるのか?レッツ実験! それぞれのスクリーンで実際に紙と布にプリント まず、60メッシュ、80メッシュ、120メッシュのスクリーンで同じデザインをプリントしたサンプル画像を見てみてください。 60メッシュ、80メッシュ、120メッシュのスクリーンで紙にプリントした比較画像 60メッシュ、80メッシュ、120メッシュのスクリーンで布にプリントした比較画像 どうでしょう?見ていただくだけでメッシュの違いによる仕上がりの違いを感じていただくことができると思いますが、もう少し詳しく見ていきましょう。 120メッシュで紙にプリント やはり紙なので少しメッシュのガタつきが見えますが、なめらかな線、エッジです。120メッシュは弊社Tシャツくんの標準スクリーンなのでどれを使えばいいか分からない!なんて場合はまず120メッシュをお試しくださいね。ベタが多いデザインも、細かい線があるデザインもだいたいのものは120メッシュでOK。 120メッシュで紙にプリントした画像 80メッシュで紙にプリント 80メッシュだと少しガタつきが目立つようになってきます。紙の場合は、布のように馴染むことがないのでやはりエッジがガタガタとしているのが見えてくるように。ただ120メッシュよりも網目が大きいのでたくさんインクが落ちるというメリットが。ラメが入った金銀インクなどはまず80メッシュをお試しください!こってり綺麗にキラキラが印刷できますよ~。 80メッシュで紙にプリントした画像 60メッシュで紙にプリント メッシュのガタガタ感がかなり目立つように…細かい線はギザギザに見えます。紙に60メッシュはあまりおすすめできないかもしれません。が、このガタつきを活かすことで味が出るようなデザインであれば◎60メッシュは80メッシュよりも更にインクがたくさん落ちるので黒い紙に白いインクをこってり濃く乗せたい!なんて時は良いかもしれません。 60メッシュで紙にプリントした画像 120メッシュで布にプリント 布に馴染んで全体的になめらかな曲線でプリントできました。Tシャツくんの本領発揮です。ベタも細い線画も見事に再現してくれました。今回は綿100%のTシャツにプリントしていますが、Tシャツくんインクは様々な素材に対応したインクがあるのでドライTシャツなどポリエステル素材や、ナイロン素材にもプリントすることができます。 120メッシュで布にプリントした画像 80メッシュで布にプリント 布には馴染んでガタつきも目立たずプリントできました。紙にプリントしたときよりもガタつきは目立ちませんね!120メッシュよりも網目が大きいのでたくさんインクが落ちるというメリットがあります。ラメが入った金銀インクなどはまず80メッシュをお試しください!こってり綺麗にキラキラが印刷できますよ~。 80メッシュで布にプリントした画像 60メッシュで布にプリント 意外にも紙にプリントした時ほどのガタつきはありません!しかし、布地には馴染みますが120メッシュには劣りますね。紙へのプリントに60メッシュはあまりおすすめできないと言いましたが、布であれば黒い生地に白インクをこってりはっきりプリントしたい!という場合におすすめ。120メッシュで白が薄いな~とお悩みの方は、黒いTシャツ×60メッシュ×ベタ多めのデザイン×白インクの組み合わせは一度試していただきたいです。 60メッシュで布にプリントした画像 シルクスクリーンのメッシュについてまとめ シルクスクリーン印刷のメッシュとは? シルクスクリーンは孔版印刷の一種で、メッシュ(網の目)状のスクリーン(版)にインクを通過させる孔(あな)をあけて印刷する技法です。メッシュとはその孔(あな)の数(粗さ、細かさ)のことで、メッシュの数は1インチの中に何本の糸が織られているかという数字です。 メッシュが細かい →デザインの再現度は高いが目詰まりしやすい。細かいデザインを印刷したいときや、紙に印刷するときにおすすめ。 メッシュが粗い →デザインの再現度は低いが目詰まりしにくく、落ちるインクの量も多くなる。ラメが入った金銀インクや、黒いTシャツに白インクをはっきり濃く乗せたいときにおすすめ。 メッシュの選び方 上記を参考にして、印刷したいデザインが線画が多いかベタが多いか。布の色やインクの種類、素材によって出来上がりを想像しながら選ぶのが◎ 以上、今回はシルクスクリーンのメッシュの違いについて実際の違いを画像で見ながら説明しました。基本的には標準の120メッシュからお試しいただくのがおすすめですが、80、60と目が粗くなるにつれて落ちるインクの量も多くなるので、ラメが入った金銀インクや黒いTシャツに白インクをたくさん乗せたい!なんてときは80メッシュや60メッシュが向いていたり。 同じデザインでも使うメッシュによって仕上がりの雰囲気も変わったりしますので、お好みで選ぶのもアリです。 次回は実際に金銀インクだとどう違うのか?白の発色に差は出るのか?などをご紹介予定!お楽しみに~ この投稿をInstagramで見る HANDo(ハンドゥ)(@hando__official)がシェアした投稿
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シルクスクリーン 「撥水インク」でアウトドア用のテントに刷ってみた!
Tシャツくんのインクシリーズに「撥水インク」があるのをご存じですか?この撥水インク、なかなかの優れものなのです。今回は「撥水インク」のご紹介と、その魅力を伝えるべく、テントへのプリント実験レポをお届けします! ◎目次1.撥水インクの特徴と魅力2.撥水インクの使い方・仕上げの方法3.なぜ硬化剤が必要なの?4.撥水インクでテントにプリント!5.まとめ 1.撥水インクの特徴と魅力 撥水インクは、撥水加工が施されたナイロンやポリエステル生地へのプリントに適した耐久性の高いインクです。たとえば、ジャンパー、ナイロン製のスポーツウェアなど、従来の水性インクでは難しい素材へのプリントができます。※表面加工方法によってはしっかりと定着できないケースもありますので、事前のプリントテストをオススメします。 くろ・しろの2色展開 2022年9月30日に発売されたばかりのニューフェイスで、現時点で色展開はまだ2色。ご好評が多ければ、今後色数増やしていけるかもしれません!そんな撥水インクの魅力を3つ、ご紹介します。 〈魅力①〉扱いやすい“水性”タイプ 撥水インクは“水性”インクなので、自宅でも簡単に作業&お手入れが可能。 従来、撥水加工生地へのシルクスクリーンプリントは油性のナイロンインクでしか定着できませんでした。しかしこのナイロンインク、溶剤のにおいが非常に強いこと、油性なので扱いが難しいことから、HANDoではほぼ「業務用」として販売していました。 そこに撥水インクが登場したことで、一般のお客さまでも格段に扱いやすく、ご自宅でも気軽にお楽しみいただけるようになりました。 特殊なインクだから硬いのか…!?と思う方もいるかもしれませんが、テクスチャーはプレーンインクとさほど変わらず、とても扱いやすいインクです。 硬すぎず柔らかすぎず、扱いやすい粘度◎ 〈魅力②〉専用の“硬化剤”も使いやすい! 撥水インクは、インク量に対して1%の硬化剤を混ぜてから使用します。 油性ナイロンインク専用の硬化剤は酸素に触れると固まるため、開封後はお早めに使い切っていただく必要がありました。 一方撥水インク用の硬化剤は、酸素に触れても固まらない性質。またインク量の1%と、ごく少量で効果があるので、ひとつ買えば使い切るまでしっかり長持ちします。 硬化剤 撥水インク用20ml入 〈魅力③〉安心の“ノンホルマリン” シルクスクリーンインクにはホルマリンが使用されることがありますが、Tシャツくんの水性インクは発売当初よりすべて「ノンホルマリン」。 そのため環境や肌にも優しく、ベビー服やペット服にも安心して使っていただけます。 2.撥水インクの使い方、仕上げの方法 STEP1.インクの準備 使用する分の撥水インクを別の容器に取り分けて、インク量に対して1%の硬化剤を入れよく混ぜます。 わざわざ別の容器に取り分けるのは少々手間ですが、理由があります。 硬化剤を入れたインクは、5~6時間で樹脂の架橋が進み生地への接着性が落ちてしまいます。そのため、“使う分だけ”ボトルから取り分けることをオススメしています。 たとえば、数日かけて大量にプリントする場合など作業に空き時間が発生する場合は、まずは“5~6時間の作業時間で使う分だけ”を取り分けてから、硬化剤を混ぜるようにしてください。 小さめの容器に使う分だけ取り分けてヘラでよく混ぜます。 STEP2.素材のセッティングとプリント プリントしたい素材を用意し、スプレーのりを吹きかけた中敷きをセットします。 特にナイロン系のウェアはプリント時に滑りやすいので、のりでしっかりと固定してくださいね。 フレーム(版)をプリントしたい位置に置いて、一定の力で刷っていきましょう。 中敷きにスプレーのりを軽く吹きかける スプレーのりを吹きかけた中敷きをセット。のりで固定することでプリント面がズレるのを防ぎます。 STEP3.乾燥仕上げ 30~60分の自然乾燥、または、ドライヤーで印刷表面を乾かした後に約120℃の低温のドライアイロンを3分間あてて、完了です!完全乾燥後は生地にしっかり定着します。アイロンの可否については素材によって異なります。かならず、お手持ちの素材の特性をご確認の上、仕上げの方法をご検討くださいね。 3.なぜ硬化剤が必要なの? ここまで散々、「硬化剤を混ぜて…」とお伝えしてきました。 なぜ他の水性インクはそのまま使えるのに、撥水インクは硬化剤を入れないといけないの?と思っている方もいると思います。 少し専門的な話になりますが、シルクスクリーンのインクには ・糊の役目を果たす「バインダー」 ・色をつくる「顔料」 の2つが主な原料として入っています。 バインダーの主成分は樹脂で、生地や紙などの媒体に、顔料を定着させる役割があります。 布素材にプリントをする場合、もともとインクに含まれる樹脂のはたらきだけでも十分に定着が可能な場合もありますが、撥水加工が施されたナイロンやポリエステル素材の場合は、樹脂の力をさらに強くする必要があります。 そこで力を発揮するのが、この「硬化剤」なのです。硬化剤が混ざることによって樹脂同士が手を組んでさらに強くなり(これを「架橋」と言います)、撥水加工素材にもしっかりと定着するというわけです。 4.撥水インクでテントにプリント! 最近は、キャンプ場やフェス会場など、その場でシルクスクリーン体験ができるイベントを見かけることが多くなりました。ありがたいことにHANDoにも、イベントでシルクをやりたいのですが…というご相談をいただくことが昨今増えてまいりました! その中でもよくお問い合わせいただくのが、キャンプ用品。表面加工が施された製品が多く、「インクは定着するのか?」と不安になりますよね。 そこで、撥水インクがアウトドア用テントにどのくらい定着するか、HANDoで実験をしてみました! 結論から言うと結果は◎でしたが、表面加工の種類によってはうまく定着できない場合もありますので、事前にプリントテストを行っていただくことをオススメいたします。 いざ実験! ◆使用したテント:ポリエステル100%の生地で、糸の外側に撥水加工が施されています。※「防水加工」ではありません!◆使用インク:撥水インク「しろ」vsリッチインク「しろ」◆使用スクリーン:120メッシュ◆検証:印刷翌日の耐久チェック(水濡れ&擦りテスト) 組み立て前の状態で地面に広げ、平らなスペースを確保! 撥水インクと、比較のためにリッチインクでもプリントしました。 刷った直後はどちらも問題なさそうですが、テントは野外で使用することを想定して、翌日に耐久性をチェックしてみました!その結果がこちら。 全体を水で濡らして、波線部分をコインで擦ってみました! リッチは少し溶け出してしまいました。 撥水は、擦っても変化なし!定着◎です。 どちらも、水に濡らしただけでは変化はありませんでした。 しかし濡れた状態でコインを使って擦ると、リッチインクが少し溶け出してしまったのに対し、撥水インクは全く変化なしという結果になりました! これなら多少の雨風や衝撃であれば、プリントが剥がれてしまう…といった心配はなさそうです。 実験の内容はショート動画でもご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてくださいね! https://youtube.com/shorts/BMpHce65q38?feature=shared 5.まとめ 以前、ラッカー塗装が施されたまな板へのプリント実験(記事はこちら!)でもその実力を発揮した撥水インク。魅力は感じていただけましたでしょうか? スポーツイベントでウェアにロゴプリントをしてみたり、オリジナルのアウトドアグッズを作ってみたり、さまざまなシーンで活用できそうですね!ぜひ、お試しください。 ● 本記事でご紹介した商品 ・撥水インク(くろ・しろ) 商品を見る ・硬化剤 撥水インク用 商品を見る ● その他のお役立ち記事一覧はこちらから! ● HANDoへのお問い合わせはこちらから!
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シルクスクリーン 多色刷りの位置合わせのコツをご紹介!~①クリアファイル編~
2色刷りで作ったロゴマーク シルクスクリーン印刷において、複数の色で印刷をすることを「多色刷り」といいます。 多色刷りで一番重要なプロセスが〈原稿のつくり方〉と〈位置合わせ〉。 難しそう…と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、コツをつかめば意外と簡単です! 様々な方法がありますが、HANDoでは、作業をする環境や印刷する素材によって、以下の2つを使い分けています。 【その1】クリアファイルを使った方法・版(フレーム)を固定できる環境・薄手の生地や紙など厚みがないものに刷るとき・クリアファイルの幅に収まるサイズのものに刷るとき例:ポストカード、薄手のハンカチ、薄手のマチ無しトートバッグ(A4以内)、など 【その2】トンボを使った方法・版を固定できない環境・厚手の素材に刷るとき・クリアファイルよりも大きいものに刷るとき例:大人用のTシャツ、トレーナー、マチの付いた袋物(バッグ、巾着)、など そこで本記事では、【その1】の〈クリアファイルを使った方法〉について、詳しくご紹介していきます。 ▶【その2】のトンボを使った方法は、以下の記事をご覧ください! https://www.hando-horizon.com/labo/10087 クリアファイルで位置合わせをする方法 必要な道具 用意するものは、通常のシルクスクリーンの道具に加えて、以下の3つ! 1)クリアファイル 2)はさみ 3)クリアファイルを台に留めるテープ クリアファイル、はさみ、養生テープ 〈STEP 1〉多色刷り用の版を作る まずは、多色刷り用の原稿を用意しましょう。色ごとにデータを分けて、すべて黒のデータにします。 今回は例として、こちらの2版のデータを用意しました。下画像の「版1」と「版2」を2色刷りして、「完成イメージ」のデザインを作っていきます。 Tシャツくんミドルフレームに、横に配置をして製版しました!このように1枚のスクリーンにまとめて配置する場合、しっかりと間隔をあけると刷りやすくなりますよ。 できあがった版がこちら! 〈STEP 2〉クリアファイルのセッティング ここでいよいよ、クリアファイルの登場です! まずはクリアファイルの下の部分(接着されている部分)をハサミでカットして、ペラ一枚のシート状にします。 クリアファイル下の、接着されている部分を切り落とします 2枚のシートになりました 次に、クリアファイルを作業台(下画像ではTシャツくんワイド印刷機を使用)に留めます。このとき、マスキングテープの粘着が弱いと剥がれやすいので、養生テープなど粘着の強いテープがあるとなお◎です。片側をテープで止めて、もう片方がパタパタと開ける状態にしてください。 左手側をテープで留めて、右手側を開ける状態にしました。 〈STEP 3〉1色目の印刷 印刷する素材に中敷きをセットしたら、さっそく1色目を刷っていきましょう。 ※今回の例のように1枚のスクリーンに複数レイアウトしている場合は、印刷しない部分はマスキングテープで隠してくださいね。 版をホルダーに固定し、1色目をクリアファイルの上に刷ります。 クリアファイルの上に刷ります 印刷位置がわかりました クリアファイルに印刷 これで、1色目のインクがのる位置がわかりましたね。このクリアファイルの印刷位置をガイドにしながら、印刷する素材をクリアファイルの下にセットし、位置を調整します。 1色目の位置合わせ 位置が決まったら、クリアファイルをめくって、印刷します。 1色目を印刷します 印刷できました 予定通りの位置に刷れました。同じものを複数制作する場合は、このまま続けて1色目をひたすら刷ってくださいね。 1色目が刷り終わったら、クリアファイルに刷ったインクは拭き取りましょう。 版の掃除もおわすれなく! クリアファイルについたインクは乾いた布やティッシュで拭き取れます。 〈STEP 4〉2色目以降の印刷 1色目の印刷面が乾いたら、2色目を刷りましょう。1色目と同じ手順で、版をホルダーに固定します。 スクリーンのマスキングテープを貼りなおして、2色目をクリアファイルの上に印刷! 2色目はこの位置に決まりました。 1色目同様に、クリアファイルで位置を合わせていきましょう。 ここがクリアファイルの便利なところ!透けて見えるから、位置合わせがしやすい!! 1色目印刷済みの素材を下から透かせて位置を調整していきます。 2色目はこのように重なるイメージで刷っていきます! 位置が決まれば、クリアファイルをめくって素材に印刷します。 2色目印刷! 2色目印刷後 どうでしょう!ほぼズレることなく、きれいに重なりました。 3色以上刷る場合も、同じ工程で刷ってくださいね。 まとめ いかがでしたか?手作業なので寸分の狂いなく…とまではいきませんが、目視だけよりも正確に簡単に位置合わせができます。 ただし、たとえば厚手のトレーナーに刷る場合だとクリアファイルが浮いてしまって位置が固定できないですし、大きいものだとクリアファイルが届きません。 ですので、冒頭でも記述のとおり、この方法は ・薄手のもの ・クリアファイル幅に収まる大きさのもの ・版を固定できる作業環境 のときに効果を発揮します! 厚手のものに刷りたい、版を固定できない…といった場合には、ぜひトンボ編の記事を参考にしてくださいね。 多色刷りをマスターすればデザインの幅もグンっと広がりますよ。 みなさんもぜひ、試してみてくださいね。 ▶〈クリアファイルを使った位置合わせ〉方法はYouTubeで動画編も公開中!