シルクスクリーン 「撥水インク」でアウトドア用のテントに刷ってみた!
Tシャツくんのインクシリーズに「撥水インク」があるのをご存じですか?
この撥水インク、なかなかの優れものなのです。今回は「撥水インク」のご紹介と、その魅力を伝えるべく、テントへのプリント実験レポをお届けします!
◎目次
1.撥水インクの特徴と魅力
2.撥水インクの使い方・仕上げの方法
3.なぜ硬化剤が必要なの?
4.撥水インクでテントにプリント!
5.まとめ
1.撥水インクの特徴と魅力
撥水インクは、撥水加工が施されたナイロンやポリエステル生地へのプリントに適した耐久性の高いインクです。たとえば、ジャンパー、ナイロン製のスポーツウェアなど、従来の水性インクでは難しい素材へのプリントができます。
※表面加工方法によってはしっかりと定着できないケースもありますので、事前のプリントテストをオススメします。

2022年9月30日に発売されたばかりのニューフェイスで、現時点で色展開はまだ2色。ご好評が多ければ、今後色数増やしていけるかもしれません!そんな撥水インクの魅力を3つ、ご紹介します。
〈魅力①〉扱いやすい“水性”タイプ
撥水インクは“水性”インクなので、自宅でも簡単に作業&お手入れが可能。
従来、撥水加工生地へのシルクスクリーンプリントは油性のナイロンインクでしか定着できませんでした。
しかしこのナイロンインク、溶剤のにおいが非常に強いこと、油性なので扱いが難しいことから、HANDoではほぼ「業務用」として販売していました。
そこに撥水インクが登場したことで、一般のお客さまでも格段に扱いやすく、ご自宅でも気軽にお楽しみいただけるようになりました。
特殊なインクだから硬いのか…!?と思う方もいるかもしれませんが、テクスチャーはプレーンインクとさほど変わらず、とても扱いやすいインクです。

〈魅力②〉専用の“硬化剤”も使いやすい!
撥水インクは、インク量に対して1%の硬化剤を混ぜてから使用します。
油性ナイロンインク専用の硬化剤は酸素に触れると固まるため、開封後はお早めに使い切っていただく必要がありました。
一方撥水インク用の硬化剤は、酸素に触れても固まらない性質。またインク量の1%と、ごく少量で効果があるので、ひとつ買えば使い切るまでしっかり長持ちします。

〈魅力③〉安心の“ノンホルマリン”
シルクスクリーンインクにはホルマリンが使用されることがありますが、Tシャツくんの水性インクは発売当初よりすべて「ノンホルマリン」。
そのため環境や肌にも優しく、ベビー服やペット服にも安心して使っていただけます。
2.撥水インクの使い方、仕上げの方法
STEP1.インクの準備
使用する分の撥水インクを別の容器に取り分けて、インク量に対して1%の硬化剤を入れよく混ぜます。
わざわざ別の容器に取り分けるのは少々手間ですが、理由があります。
硬化剤を入れたインクは、5~6時間で樹脂の架橋が進み生地への接着性が落ちてしまいます。
そのため、“使う分だけ”ボトルから取り分けることをオススメしています。
たとえば、数日かけて大量にプリントする場合など作業に空き時間が発生する場合は、まずは“5~6時間の作業時間で使う分だけ”を取り分けてから、硬化剤を混ぜるようにしてください。

STEP2.素材のセッティングとプリント
プリントしたい素材を用意し、スプレーのりを吹きかけた中敷きをセットします。
特にナイロン系のウェアはプリント時に滑りやすいので、のりでしっかりと固定してくださいね。 フレーム(版)をプリントしたい位置に置いて、一定の力で刷っていきましょう。


STEP3.乾燥仕上げ
30~60分の自然乾燥、または、ドライヤーで印刷表面を乾かした後に約120℃の低温のドライアイロンを3分間あてて、完了です!完全乾燥後は生地にしっかり定着します。
アイロンの可否については素材によって異なります。かならず、お手持ちの素材の特性をご確認の上、仕上げの方法をご検討くださいね。

3.なぜ硬化剤が必要なの?
ここまで散々、「硬化剤を混ぜて…」とお伝えしてきました。
なぜ他の水性インクはそのまま使えるのに、撥水インクは硬化剤を入れないといけないの?と思っている方もいると思います。
少し専門的な話になりますが、シルクスクリーンのインクには
・糊の役目を果たす「バインダー」
・色をつくる「顔料」
の2つが主な原料として入っています。
バインダーの主成分は樹脂で、生地や紙などの媒体に、顔料を定着させる役割があります。
布素材にプリントをする場合、もともとインクに含まれる樹脂のはたらきだけでも十分に定着が可能な場合もありますが、撥水加工が施されたナイロンやポリエステル素材の場合は、樹脂の力をさらに強くする必要があります。
そこで力を発揮するのが、この「硬化剤」なのです。硬化剤が混ざることによって樹脂同士が手を組んでさらに強くなり(これを「架橋」と言います)、撥水加工素材にもしっかりと定着するというわけです。
4.撥水インクでテントにプリント!
最近は、キャンプ場やフェス会場など、その場でシルクスクリーン体験ができるイベントを見かけることが多くなりました。ありがたいことにHANDoにも、イベントでシルクをやりたいのですが…というご相談をいただくことが昨今増えてまいりました!
その中でもよくお問い合わせいただくのが、キャンプ用品。表面加工が施された製品が多く、「インクは定着するのか?」と不安になりますよね。
そこで、撥水インクがアウトドア用テントにどのくらい定着するか、HANDoで実験をしてみました!
結論から言うと結果は◎でしたが、表面加工の種類によってはうまく定着できない場合もありますので、事前にプリントテストを行っていただくことをオススメいたします。
いざ実験!
◆使用したテント:
ポリエステル100%の生地で、糸の外側に撥水加工が施されています。※「防水加工」ではありません!
◆使用インク:撥水インク「しろ」vsリッチインク「しろ」
◆使用スクリーン:120メッシュ
◆検証:印刷翌日の耐久チェック(水濡れ&擦りテスト)

撥水インクと、比較のためにリッチインクでもプリントしました。
刷った直後はどちらも問題なさそうですが、テントは野外で使用することを想定して、翌日に耐久性をチェックしてみました!その結果がこちら。



どちらも、水に濡らしただけでは変化はありませんでした。
しかし濡れた状態でコインを使って擦ると、リッチインクが少し溶け出してしまったのに対し、
撥水インクは全く変化なしという結果になりました!
これなら多少の雨風や衝撃であれば、プリントが剥がれてしまう…といった心配はなさそうです。
実験の内容はショート動画でもご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
5.まとめ
以前、ラッカー塗装が施されたまな板へのプリント実験(記事はこちら!)でもその実力を発揮した撥水インク。
魅力は感じていただけましたでしょうか?
スポーツイベントでウェアにロゴプリントをしてみたり、オリジナルのアウトドアグッズを作ってみたり、さまざまなシーンで活用できそうですね!ぜひ、お試しください。
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Tシャツくんのスクリーンとフレーム、やっぱり専用品がいいの?代用する際の注意点
Tシャツくんを使ってシルクスクリーンプリントを楽しんでいる人も、あるいはこれから始めてみようと考えている方もいるかもしれません。Tシャツくんは手軽にシルクスクリーンプリントができる便利なアイテムですが、「スクリーンやフレームは代用できないの?」と感じたことはありませんか? 今回はその疑問にお答えします! Tシャツくんスクリーンの代用について まず、Tシャツくんのスクリーンについてです。これは残念ながら代用ができません。その理由は、Tシャツくんのスクリーンが、Tシャツくん本体の露光時間に合わせて特別に作られているからです。 シルクスクリーンプリントは、感光乳剤が塗られたスクリーンに原画を貼り、光を当てることで版を制作します。この際、光の量(露光時間)とスクリーンの感光特性が密接に関係しており、Tシャツくんのスクリーンはこのバランスが最適化されています。 もしTシャツくん専用ではないスクリーンを使ってしまうと、版がうまく感光せず、以下のような問題が起こる可能性があります。 版が抜けない 版がくずれる ・版が抜けない : 版が固まりすぎてしまい版がなかなか抜けない(こすりすぎてピンホールがあく) ・版がくずれる : 版が充分に固まらず、絵柄以外の部分もぼろぼろとくずれる 安定した品質で製版をするには、Tシャツくん専用のスクリーンを使用することが不可欠です。 フレームは代用できる? 木枠を使う際の注意点 次にフレームについてです。こちらは木枠などで代用することは可能ですが、代用する際にはいくつか気をつけるべきポイントがあります。 1.歪み 木枠などで代用する場合はホチキスなどでスクリーンをフレームに固定し、強い力でスクリーンを引っ張りながらフレームに張っていく必要があります。その際、どうしてもスクリーンに歪みが生じる可能性があります。スクリーンが均一に張れていないと、プリントの際デザイン自体の歪みにもつながる他、インクのムラやにじみ、かすれの原因となってしまいます。 2.張りの均一性 スクリーンの張りの強さはプリントのクオリティに直結します。たるみなく均等なテンションでスクリーンを張るのはかなり難しい技術です。スクリーンの張りが弱いとインクのムラやにじみにつながったり、版の目詰まりや、破れなど版自体の耐久性にも関わってきます。 Tシャツくんフレームは実はすごい!? その秘密は「ワンタッチ」 一方で、Tシャツくんのフレームはワンタッチ(ネジを回すだけ)で歪みをなくし、強い張りを出すことができる便利な商品です。この機能のおかげで、誰でも簡単に、均一に強い張りを保った状態でスクリーンをフレームにセットできるため、安定した印刷品質を保つことができます。木枠などの代用品では、この利便性や精度の再現は難しいでしょう。 まとめ:結局、Tシャツくん専用品がいい理由 手軽にシルクスクリーンプリントを楽しめるTシャツくんですが、特にスクリーンに関しては専用品の使用が必須です。フレームは代用可能ではあるものの、安定した印刷品質や作業のしやすさを考慮すると、やはりTシャツくんの専用フレームを使うのがおすすめです。 ・Tシャツくんスクリーン: Tシャツくんの露光時間に最適化されており、代用不可。 ・Tシャツくんフレーム: 木枠などで代用は可能だが、歪みや張りの強さに注意が必要。 Tシャツくんフレームはワンタッチで簡単に張れる優れもの。 手間なく、そして失敗なくTシャツプリントを楽しみたいなら、やはり専用のツールを選ぶのが一番の近道と言えるでしょう。Tシャツくん専用品を使って快適にシルクスクリーンプリントを楽しみましょう!
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Tシャツくん露光失敗…考えられる原因
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