アンディ・ウォーホル展in京都 シルクスクリーンのアート作品を訪ねて|HANDo KYOTOもご紹介!
暑さが落ち着き涼しくなってくると…芸術の秋到来!
以前の記事でシルクスクリーンのアート作品として紹介したアーティスト、アンディ・ウォーホル。9月から彼の大回顧展「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」が京都で開催されているということで調べてみました!
▼ 以前の記事はこちら
● アンディ・ウォーホル展のポイント

・初期から晩年に渡る作品を包括的に見ることのできる大回顧展
・日本初!アメリカ・ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館の所蔵作品のみで構成
・日本初公開の作品が100点以上!
《三つのマリリン》 1962年
《最後の晩餐》 1986年 etc.
・1956年若きウォーホルが旅行で訪れた京都ゆかりのスケッチも展示
・日本では2014年(東京)以来のウォーホル展
アンディ・ウォーホル展の情報は以下の公式HPからご覧ください。 公式HPはコンテンツも充実。アート・音楽など様々な分野の人たちの対談動画等、多角的にこの展示会を楽しむ事ができますよ!
アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO |
● アンディ・ウォーホルとは

https://www.hando-horizon.com/archives/5391
展示会をより楽しむために、簡単ですが事前情報を仕入れておきましょう。
「ポップアートの旗手」と言われたアンディ・ウォーホルの作品は、音楽のジャケットやTシャツ、身近な雑貨等にも利用されています。そのポップな絵のインパクトが強く残りがちですが、アンディ・ウォーホル自身の生涯もまたドラマチックで興味深いです。
● 作品の特徴
商業的・大衆的なモチーフが多く1950-60年代アメリカの大量生産・大量消費の時代の光と影を表現。シルクスクリーンを用いて作品を大量生産し、これまでの「アート作品とは1点もの」という概念を変えました。
アートだけではなく音楽・ファッション・マスメディアなど色々なジャンルに影響を与えています。

https://www.hando-horizon.com/archives/5391
● 生涯
チェコスロバキア出身の両親の元、アメリカ・ピッツバーグで育ちました。幼少期は色素欠乏症で虚弱体質。そのため学校にも馴染めず、家で映画スターなどの絵をよく描いていました。
大学卒業後は商業デザイナーとして20代から活躍。30代からアート作品を手がけるようになり、「ファクトリー」と呼ばれたアトリエ兼サロンで制作。毎日のようにパーティを行っていたと言われています。絵以外にもフィルム作品を60作以上手掛けており、いくつかは発表されましたがその多くは公開されていません。
1960年代に一躍時の人となり大成功をおさめたウォーホルですがスキャンダルも多く、華やかな生活ながらも孤独を感じていたという記録があります。
晩年はこれまでの大衆的なモチーフとは反対に、キリスト教にちなんだ作品が多くなっています。
● アンディ・ウォーホルに関連した映画
彼自身の生涯に興味のある方はこちらもどうぞ。
『アンディ・ウォーホルを撃った女 / I Shot Andy Warhol』1995年
『Andy Warhol: A Documentary Film Pt1』2006
『ファクトリー・ガール』2007年
作品をそのまま見に行くのもいいですが、作品が生まれた背景を知るとより理解が深まり俄然興味が湧いてきますね。
ウォーホル展が楽しみです!そうだ 京都、行こう!
● シルクスクリーン体験ができる!HANDo KYOTOのご紹介

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000099826.html
ウォーホル作品の手法で多く使われているシルクスクリーンを自分でも体験してみるのはいかがですか?
HANDo KYOTOは京都市南区にあるスカッシュとものつくり施設「StandOut KYOTO」内にて今年5月にオープンしたシルクスクリーン工房です。
不定期でワークショップ等も開催しているのでお気軽にのぞいてみてくださいね!
アンディ・ウォーホル展に行く前に体験するもよし、行った後に余韻に浸るのもよし。
この秋冬はぜひシルクスクリーンに触れてみましょう!
HANDo KYOTO ご予約や施設の最新の情報は以下よりご確認ください。
https://lit.link/standout
・場所
StandOut KYOTO
京都市南区久世東土川町243-2
・アクセス
【バス】バス停「東土川橋」から徒歩1 分、バス停「久世大藪町」から徒歩5 分
【電車】JR 向日町駅より徒歩約20 分
【車】京都駅より20 分
【参考サイト】
アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO 公式HP
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Tシャツくんの原稿用紙は代用できる? 市販の紙だと露光失敗するワケ
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おぎこラボ〜写真をシルクスクリーンで!編〜
前回に引き続きラボ第二弾は写真の製版をご紹介。シルクでプリントできるのはイラストやロゴだけだと思っているそこのあなた?実は自分で撮った写真をシルクスクリーンでプリントすることだってできちゃうんですよ〜! ①Photoshopで開く②イメージ → モード → グレースケール イメージ → モード → モノクロ2階調 300pixcelのままでOK 今回の線数は30※数字が小さくなればなるほど仕上がりは粗くなります。 大きくなると細かくなりますが製版が難しい! 角度や網点の形も色々。なんでもOKですが仕上がりが微妙に違ったり。(その比較はまた今度お見せします!) これをプリントして、ここから先はいつも通り製版! 原稿の余白を適当に切って、フレームにスクリーンを張ったら裏側に原稿をぺたり。これをひっくり返してTシャツくんへin! 今回は靴の写真を使ってみましたがもちろん風景や人の写真でもOK?♀️ハーフトーンといってグレーなどの濃度を色々なサイズのドットで表現する方法です。ただのモノクロ写真だとグレーの部分はうまく整版できないので要注意? 製版作業〜プリントまでは次回ご紹介。おたのしみに!
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シルクスクリーン 多色刷りの位置合わせのコツをご紹介!~①クリアファイル編~
2色刷りで作ったロゴマーク シルクスクリーン印刷において、複数の色で印刷をすることを「多色刷り」といいます。 多色刷りで一番重要なプロセスが〈原稿のつくり方〉と〈位置合わせ〉。 難しそう…と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、コツをつかめば意外と簡単です! 様々な方法がありますが、HANDoでは、作業をする環境や印刷する素材によって、以下の2つを使い分けています。 【その1】クリアファイルを使った方法・版(フレーム)を固定できる環境・薄手の生地や紙など厚みがないものに刷るとき・クリアファイルの幅に収まるサイズのものに刷るとき例:ポストカード、薄手のハンカチ、薄手のマチ無しトートバッグ(A4以内)、など 【その2】トンボを使った方法・版を固定できない環境・厚手の素材に刷るとき・クリアファイルよりも大きいものに刷るとき例:大人用のTシャツ、トレーナー、マチの付いた袋物(バッグ、巾着)、など そこで本記事では、【その1】の〈クリアファイルを使った方法〉について、詳しくご紹介していきます。 ▶【その2】のトンボを使った方法は、以下の記事をご覧ください! https://www.hando-horizon.com/labo/10087 クリアファイルで位置合わせをする方法 必要な道具 用意するものは、通常のシルクスクリーンの道具に加えて、以下の3つ! 1)クリアファイル 2)はさみ 3)クリアファイルを台に留めるテープ クリアファイル、はさみ、養生テープ 〈STEP 1〉多色刷り用の版を作る まずは、多色刷り用の原稿を用意しましょう。色ごとにデータを分けて、すべて黒のデータにします。 今回は例として、こちらの2版のデータを用意しました。下画像の「版1」と「版2」を2色刷りして、「完成イメージ」のデザインを作っていきます。 Tシャツくんミドルフレームに、横に配置をして製版しました!このように1枚のスクリーンにまとめて配置する場合、しっかりと間隔をあけると刷りやすくなりますよ。 できあがった版がこちら! 〈STEP 2〉クリアファイルのセッティング ここでいよいよ、クリアファイルの登場です! まずはクリアファイルの下の部分(接着されている部分)をハサミでカットして、ペラ一枚のシート状にします。 クリアファイル下の、接着されている部分を切り落とします 2枚のシートになりました 次に、クリアファイルを作業台(下画像ではTシャツくんワイド印刷機を使用)に留めます。このとき、マスキングテープの粘着が弱いと剥がれやすいので、養生テープなど粘着の強いテープがあるとなお◎です。片側をテープで止めて、もう片方がパタパタと開ける状態にしてください。 左手側をテープで留めて、右手側を開ける状態にしました。 〈STEP 3〉1色目の印刷 印刷する素材に中敷きをセットしたら、さっそく1色目を刷っていきましょう。 ※今回の例のように1枚のスクリーンに複数レイアウトしている場合は、印刷しない部分はマスキングテープで隠してくださいね。 版をホルダーに固定し、1色目をクリアファイルの上に刷ります。 クリアファイルの上に刷ります 印刷位置がわかりました クリアファイルに印刷 これで、1色目のインクがのる位置がわかりましたね。このクリアファイルの印刷位置をガイドにしながら、印刷する素材をクリアファイルの下にセットし、位置を調整します。 1色目の位置合わせ 位置が決まったら、クリアファイルをめくって、印刷します。 1色目を印刷します 印刷できました 予定通りの位置に刷れました。同じものを複数制作する場合は、このまま続けて1色目をひたすら刷ってくださいね。 1色目が刷り終わったら、クリアファイルに刷ったインクは拭き取りましょう。 版の掃除もおわすれなく! クリアファイルについたインクは乾いた布やティッシュで拭き取れます。 〈STEP 4〉2色目以降の印刷 1色目の印刷面が乾いたら、2色目を刷りましょう。1色目と同じ手順で、版をホルダーに固定します。 スクリーンのマスキングテープを貼りなおして、2色目をクリアファイルの上に印刷! 2色目はこの位置に決まりました。 1色目同様に、クリアファイルで位置を合わせていきましょう。 ここがクリアファイルの便利なところ!透けて見えるから、位置合わせがしやすい!! 1色目印刷済みの素材を下から透かせて位置を調整していきます。 2色目はこのように重なるイメージで刷っていきます! 位置が決まれば、クリアファイルをめくって素材に印刷します。 2色目印刷! 2色目印刷後 どうでしょう!ほぼズレることなく、きれいに重なりました。 3色以上刷る場合も、同じ工程で刷ってくださいね。 まとめ いかがでしたか?手作業なので寸分の狂いなく…とまではいきませんが、目視だけよりも正確に簡単に位置合わせができます。 ただし、たとえば厚手のトレーナーに刷る場合だとクリアファイルが浮いてしまって位置が固定できないですし、大きいものだとクリアファイルが届きません。 ですので、冒頭でも記述のとおり、この方法は ・薄手のもの ・クリアファイル幅に収まる大きさのもの ・版を固定できる作業環境 のときに効果を発揮します! 厚手のものに刷りたい、版を固定できない…といった場合には、ぜひトンボ編の記事を参考にしてくださいね。 多色刷りをマスターすればデザインの幅もグンっと広がりますよ。 みなさんもぜひ、試してみてくださいね。 ▶〈クリアファイルを使った位置合わせ〉方法はYouTubeで動画編も公開中!