シルクスクリーンで写真を刷ろう!①【網点とは?データの作り方は】
シルクスクリーンで写真をプリントすると面白い!というのをご存じですか??
いつもの写真もこんなふうに!


インクの色を変えるだけでイメージもがらり!


写真をシルクスクリーンプリントするためには、シルクスクリーン用のデータに作り変える必要があります。
写真をモノクロコピーするだけじゃダメなの?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、
シルクスクリーンの原稿は真っ黒が原則!グレーなどの中間色は製版できません。


シルクスクリーンでは、写真データを【網点処理】をすることでグラデーションを表現します◎
というわけで今回は写真をシルクスクリーンでプリントするための
・写真データの作り方
・オススメの線数
などについて、詳しく解説していきます!
◎目次
① データの作成
1.Photoshopで写真を開く
2.サイズと解像度を設定
3.グレースケール化
4.モノクロ2階調→網点設定
└「線数」とは
└「角度」とは
└「網点形状」とは
5.データ完成!
② プリント
③ フルカラープリントもできる?
④ まとめ
① データの作成
1.Photoshopで写真を開く
まずは、プリントしたい写真をPhotoshopで開きます。

2.サイズと解像度を設定
次に、「サイズと解像度」を設定します。
メニューバー〈イメージ〉→〈画像解像度〉を選択

以下のダイアログボックスが表示されたら、プリントサイズを設定します。
・幅、高さを入力(左の鎖マークを繋げた状態で設定)
・解像度は「300」と入力(単位は「pixel/inch」)

3.グレースケール化
次に、写真をグレースケールの状態に変更します。
グレースケールとは、白と黒の中間色であるグレーの濃淡を254階調(グラデーション)で表現すること。
メニューバー〈イメージ〉→〈モード〉→〈グレースケール〉を選択

「カラー情報を破棄しますか?」というメッセージが表示されたら、〈破棄〉を選択してください。

4.モノクロ2階調→網点設定
グレースケール化したデータをモノクロデータにします。
シルクスクリーンではグレーをそのまま表現することはできないので、
代わりに「網点」で階調を表現します。(網点については次の章!)
網点を設定するために、グレースケール化した写真から一旦階調を取り去ります。
メニューバー〈イメージ〉→〈モード〉→〈モノクロ2階調〉を選択

モノクロ2階調を選択すると、2つのダイアログボックスが出てきます。
ひとつ目の「モノクロ2階調」の設定では
・解像度の出力:300pixel/inch
・種類:ハーフトーンスクリーン
と入力し、OKをクリック。

ふたつ目の「ハーフトーンスクリーン」のダイアログボックスでは、網点の設定をします。(重要!)
網点(ハーフトーン)とは、印刷物の濃淡を表現するための小さな点のこと。
網点の密度や大きさでグラデーションを作り、1色印刷でも豊かな表現を刷ることができます。
網点のオススメ設定は
・線数 :15線
・角度 :45度
・網点形状 :円
です。

線数とは?

※角度:45度 網点形状:円 サイズ:150×100mm
線数とは、網点の密度のこと。すなわち、印刷の細かさ。
線数が大きいほど精密な表現になり、小さいほどドットが粗くなります。
ちなみにTシャツくんでは、線数が大きい(=ドットが細かい)ほど製版の難易度がアップします。
この後の〈②プリント〉の章でお話しますが、Tシャツくんで製版する場合、オススメは10~15線です。
角度とは?

※線数:10 網点形状:円 サイズ:150×100mm
角度とは、網点が並ぶ方向。
フルカラーでプリントする場合には重要な設定になりますが
今回のように1色印刷であれば、お好みの設定で構いません。
網点形状とは?

※線数:10 角度:45 サイズ:150×100m
網点形状とは、その名のとおり網点の形。
「点」と言いながら、ラインや円、クロスなど様々な種類を選べます。
こちらもお好みで設定してみてくださいね!
5.データ完成!
網点の設定を完了すれば、データが完成です。
ここからはいつも通り、専用用紙に出力してから製版をしていきましょう!
② プリント
さて、いよいよ製版とプリントです!
線数10、15、30の3パターンでプリントしたものがこちら。

※角度:45度 網点形状:円 サイズ:150×100mm

※角度:45度 網点形状:円 サイズ:150×100mm

※角度:45度 網点形状:円 サイズ:150×100mm
【10線~15線】
レトロでアートな雰囲気に。シルクスクリーンならではの味があります◎
製版も印刷も比較的簡単で、シルクスクリーンに慣れていない方でも挑戦しやすいですよ。
ただし、10線はドットの存在感が大きいので写真によっては被写体がわかりづらくなるかもしれません。
【30線】
きめが細かく、実際の写真に近い見え方になりました。
ただし、Tシャツくんでのアナログ製版ですとサイズによっては骨が折れる作業かも…。
30線で写真に忠実にプリントしたい!という方は、デジタルによる製版が可能な製版サービスのご利用も合わせてご検討くださいね!※製版サービスの場合でも目詰まりは注意です
デザインの細かさと製版・プリントの関係性についてはこちらの記事でも解説しています。
③ フルカラープリントもできる?
ズバリ、できます!
データの作成方法やプリント工程が多くなり少々手はかかりますがフルカラーも面白いですよ♪
フルカラープリントのやり方は、こちらの記事で解説していますので是非ご覧ください!
▶シルクスクリーンで写真を刷ろう!②【フルカラープリント編】
④ まとめ
いかがでしたでしょうか?いつもの写真ががらりと印象が変わり、おもしろいですよね!
網点の設定の仕方でも仕上がりの印象が違うので是非いろいろなパターンで試してみてくださいね。
HANDoでは、シルクスクリーンを通してものつくりやみなさまの新しい一歩のサポートをしています。
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など、シルクスクリーンにご興味をお持ちでしたら、ぜひ一度HANDoへご相談ください。
シルクスクリーンのお役立ち情報「ものつくりLABO」やイベントレポートも随時更新しています。
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シルクスクリーン 厚手の帆布生地にきれいにプリントする4つのコツ!
シルクスクリーンプリントの中でも難易度高め?!な、帆布生地(キャンバス地)へのプリント。 生地が堅く水分を通しにくい性質があるため、手刷りプリントはカスレやすいという難点があります。苦戦される方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、帆布生地にきれいにプリントする方法を実験形式で伝授いたします! ポイントは ①「段差」をなくす②「スキージ」を変えてみる③「メッシュ」を変えてみる④ “浮き”をつくる の4つ。それではいってみましょう~! ◎目次・実験で使った帆布生地①「段差」をなくす②「スキージ」を変えてみる┗ (1) 標準スキージ┗ (2) ウレタンスキージ③「メッシュ」を変えてみる┗ (1) 120メッシュ、80メッシュでテスト┗ (2) 80メッシュの注意点④“浮き”をつくる・まとめ 実験で使った帆布生地 実験で使用した8号の帆布カットクロス 実験では、8号の帆布生地(カットクロス)を使用しました。 帆布には1号~11号までの号数があり、号数が小さいほど「厚い」生地となります。 今回使用した8号はハリがあり型崩れしにくいタイプです。 ①「段差」をなくす 印刷面の段差をなくし、フラットな状態に保つことはとても大切なポイントです!段差・凹凸差があると、印刷ムラやカスレの原因に。特に帆布生地は段差が厚くなりがちなので注意が必要です。 NG:段差やしわがある状態 OK:フラットな状態 段差がある位置に印刷したい場合、中敷きを使って段差を解消しましょう。下の画像では、トートバッグの底マチの形に合わせてパネル1枚と厚紙をマチの厚み分重ねて、中敷きを作りました。こうすることで、凹凸を解消しフラットな面を作ることができます。 底マチの形に合わせて中敷きを作りました 凹み部分が底マチの段差を解消します。 ②「スキージ」を変えてみる スキージを変えることでも仕上がりに違いが出ます。 それぞれのスキージの特長と選び方については、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。 https://www.hando-horizon.com/labo/10361 通常、厚手生地へのプリントは「ウレタンスキージ」をオススメしていますが、帆布の場合はどうでしょうか?標準スキージとウレタンスキージで、実際に刷ってみました! (1) 標準スキージ 標準スキージは、プラスチック素材でできていて、低価格で購入できるのが魅力。初心者でも扱いやすい一方で、堅い素材や厚い生地へのプリントは難しい場合があります。厚手帆布生地はどうでしょうか?1回刷り、2回刷りの仕上がりを見てみましょう! 【標準スキージ】1回刷り:全体 【標準スキージ】2回刷り:全体 【標準スキージ】1回刷りは擦れが!:拡大 【標準スキージ】こちらも1回刷りは擦れ:拡大 1回刷りでは全体的にカスレが発生してしましました!!特にベタのデザインは広範囲にカスレていて、目立っています。標準スキージの場合は「2回刷り」がよさそうです◎ (2) ウレタンスキージ 続いて、ウレタンゴムでできたウレタンスキージでテスト。やや上級者向けのスキージですが、パワーはピカイチ。ゴムに弾力があるので、堅く厚い素材にも相性がいいです。こちらも、1回刷り、2回刷りをそれぞれ見てみましょう。 【ウレタンスキージ】1回刷り:全体 【ウレタンスキージ】2回刷り:全体 【ウレタンスキージ】1回刷りできれいに:拡大 【ウレタンスキージ】2回刷りは線が太りました:拡大 1回刷りでも問題なく、とてもキレイに刷れました! 2回刷りは線が太ったり抜き部分が潰れ気味になったりするので、ウレタンスキージを使う場合は1回刷りが良さそうです。 【結論】・ 標準スキージ:1回だと擦れる。2回刷りがオススメ。・ ウレタンスキージ:1回刷りで十分な仕上がり◎2回刷りは若干デザインが潰れるかも。 ③メッシュを変えてみる Tシャツくんのスクリーンは、120メッシュ80メッシュ60メッシュ230メッシュの4種類を扱っています。 120メッシュを標準スクリーンとご案内していますが、インクが染みこみづらい厚手の生地へのプリントは網目が大きい80メッシュをオススメします。 メッシュの違いと選び方はこちらの記事で解説しています! https://www.hando-horizon.com/labo/4276 帆布生地の場合、メッシュの違いでどのような差が出るか実験してみました! (1) 120メッシュ、80メッシュでテスト ウレタンスキージを使って、それぞれ1回刷りした結果がこちら。 120メッシュで1回刷り 80メッシュで1回刷り 一見どちらもキレイにプリント出来ているように見えますが、120メッシュの方をよく見てみると… 120メッシュ1回刷り 拡大① 120メッシュ1回刷り 拡大② 部分的にカスレているのがわかります。 一方80メッシュは、カスレやムラなく均一に仕上がりました。 (2) 80メッシュの注意点 80メッシュは網目が大きいため、デザインによってはエッジのがたつきが出てしまうことがあります。(特に紙のように滑らかな素材は目立ちます。)基本的には、シンプルで大きい図案が適しています。 ただし、厚手の帆布のように表面の凹凸が粗いとそこまでがたつきが目立たずインクもしっかりと塗布できるため、80メッシュがオススメです。 80メッシュでもがたつきは目立ちません 【結論】厚手の帆布生地には80メッシュがオススメ。120メッシュは部分的にカスレてしまうかも。 ④“浮き”をつくる “浮き”とは、印刷したい素材と版の隙間(3mm程度)のこと。 シルクスクリーンにおいて“浮き”は非常に重要で、きれいな印刷には欠かせないポイントです。 “浮き”があることにより、スキージが通過した後に版が印刷素材から離れ(これを「版離れ」と言います)、その反発力でインクを均一に引き上げ、美しい印刷面になります。たかが3mm、されど3mm! たとえば帆布のお弁当バッグ。版のフレームよりもサイズが小さく厚みもあるので、版と素材がべったりと密着してしまいますよね。 浮きがなく、版と印刷する素材が密着している状態 このような場合には、フレームの四隅に厚紙などを敷いて適度な高さを作ってみましょう!素材と版の間に“浮き”が生まれ、刷りやすくなります。下の画像では、コルク素材のコースターを使いました。 フレームの四隅にコースターを置いて高さを出しました まとめ いかがでしたでしょうか?上記4つのコツをいずれか実践いただくだけでも、キレイなプリントが期待できますよ!ぜひ参考にしてみてくださいね。 ◆ご紹介した商品・80メッシュ、120メッシュ商品を見る ・スキージ各種商品を見る HANDoでは、シルクスクリーンを通してものつくりやみなさまの新しい一歩のサポートをしています。 シルクスクリーンのワークショップを運営してみたい!イベントでシルクスクリーンをやってみたい! など、シルクスクリーンにご興味をお持ちでしたら、ぜひ一度HANDoへご相談ください。 シルクスクリーンのお役立ち情報「ものつくりLABO」やイベントレポートも随時更新しています。 > 「ものつくりLABO」記事一覧 > イベントレポート一覧 > お問い合わせフォーム